小説あらすじ紹介ブログ【簡易性の文学】

様々な文学作品のあらすじを紹介するブログです。

織田作之助『雨』(『青春の逆説』習作)

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 注意事項

・いわゆるネタバレを含みます。

・あらすじは作品の一部分を運営者が独断で切り抜き、纏めたものです。

・作中で設定などが明らかになる順序が前後している場合があります。

・あらすじによって作品を理解することや、その面白さを判断することはできません。ぜひ作品自体を手に取ってみてください。

 

以上のことご了承の上お読みください。

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あらすじ(約1,200字)

 写本師の娘であるお君は、母を早くに亡くしており、父とその弟子とともに三人で暮らしていた。優れた美貌を持つ彼女は十八の時、小学校教師の軽部のもとへ写本を届けに行った際に犯され、彼女の妊娠を憂慮した軽部と結婚することになる。翌年、お君は豹一という男の子を産むが、年の暮れに軽部が急性肺炎で他界。また、豹一が六つの時に父親が事故で死亡し、お君は豹一を連れて、裁縫教室と仕立で生計を立てた。  尋常小学校へ通うころには、豹一は整った顔立ちの少年に成長した。お君は高利貸しの野瀬安二郎のもとへ嫁ぎ、豹一も安二郎の家に移り住むが、そこでの生活の中、豹一は安二郎に雇われている男から、両親にみたてた卑猥な絵を見せられることで自尊心が傷つき、性に対して嫌悪を抱き始める。

 豹一は小学校を卒業し、中学へ通い始めるも、安二郎が学費を出すことは無く、お君は仕事に追われた。豹一は簡単に主席の地位を手に入れ、同級生に憎まれたが、豹一もはじめから彼らに敵愾心を抱いていた。  そんな中、豹一は町中の中学生の憧憬を集めている水原紀代子という女生徒の存在を知る。自尊心から彼女を手に入れようとするも、根が内気な彼はうまく話すことができなかったが、紀代子はその美貌と内気さに惹かれていく。一度は距離を置いた二人だったが、後に豹一は彼女と境内で接吻を果たす。強く自分を求めてくる紀代子に対し、豹一は一度その場を逃げだすが、後日彼女から恋文を受け取り、それをクラスで自慢した。

 卒業した豹一は京都高等学校に入学したが、豹一はそこで訳もなく上級生に殴られ、心を慰めるために女学生に接吻して回った。しかし、そのうちに仕送りをしてくれている母を思い、退学して家に戻った。    家に帰った豹一は、仕事に追われる母の姿を目にすると、すぐに新聞社で働き始めるが、ある日、母に関する出来事で安二郎と揉め、「母を養えるようになったら迎えに来る」と言い残してその地を後にする。  新しく円タク助手を始めた豹一は、ある日遊郭に連れていかれると、性を労働と割り切っている事実に、今までの性に対する嫌悪感を馬鹿らしく思うようになる。そこで豹一はとある妓と結婚を計画したが、それを賭博打ちの男にとられてしまい、街の不良と喧嘩をするようになると、豹一は身体を壊してしまう。  母に手紙を出すと、迎えに現れた安二郎から、山谷がお君を犯したのだと告げられ、二人が密会しないかと不安がる安二郎からお君の監視を頼み込まれる。

 豹一が帰ると、お君は息子の不健康な姿に自責の念を抱き、涙を流した。豹一は無為徒食の生活に耐えられずに飛び出し、キャバレーで友子という女を手に入れると、三か月後、友子が妊娠していることを知り、彼女と結婚。彼はデパートに雇われ、友子は男の子を産んだ。豹一は自分の息子を見て、今までの嫌悪はこのために準備されていたのかと感じる。  出産の翌日、三十八で孫を持ったお君と、二十歳で父になった豹一は、親子で笑い合い、お君は「また来る」と言い残して雨の中を帰っていった。

おわりに

今回は省略しましたが、

・お君が繰り返し使った「私はどないでもよろしおま」という台詞、

・別れ際にお君を犯した父親の弟子、

・豹一と紀代子のやり取り、 など

他にも重要な場面や描写が無数にあります。 また、このあらすじでは作者の巧みな文章表現を楽しむことはできません。 (あらすじはあくまでサイト運営者が個人で書いたものであり、作品の持ち味や面白さを表現することは出来ていません) ぜひ作品自体を読んでみてください。

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